サーキュラーエコノミー時代へ
~冷媒に対する向き合い方~
今回は前回に引き続き、現在ダイキンが考える持続可能な活動とビジネスモデルを紹介します。前回の空気だよりはこちら
今回は日本での取り組みなどをご紹介させて頂きます!
国内においては、再生冷媒についての2つの取組みについてプレス発表しました。1つは冷媒循環のデジタルプラットフォームの構築に向けて、システム開発の実証実験です。この実証実験では、日本アイ・ビー・エム株式会社のブロックチェーン技術を活用し、冷媒の製造から回収・再生・破壊におよぶ循環サイクル全体の情報管理を可能とするデジタルプラットフォームの構築を目指します。さらに、冷媒の再資源化促進のパートナーとして、北九州市環境局、住友不動産株式会社、株式会社竹中工務店、阿部化学株式会社、アオホンケミカルジャパン株式会社、株式会社環境総研、株式会社クリエイト(敬称略)の協力を得て、多岐にわたるステークホルダーとの冷媒管理および、冷媒の品質を担保する再生・回収システムの構築に向けたデジタルプラットフォームの有効性を検証します。
参考:オランダ政府「From a linear to a circular economy」
もう1つは住友不動産株式会社と「空調設備の脱炭素に向けた包括連携協定締結」です。オフィスビル等で使用する空調設備において、脱炭素・循環型社会の実現に貢献することを目的とした包括連携協定を締結し、空調設備の省エネ効果の検証・運用最適化を図る取組みや、「空調冷媒」※1の循環利用実現に向けた取組みを共同で進めていくことを決定しました。あわせて、包括連携協定のプロジェクト第一弾として、ダイキングループをはじめとする各取引先と協力したうえで、住友不動産株式会社の運営するオフィスビルの空調機器から回収される空調冷媒の全量再生利用※2、リサイクル製品化を推進し、冷媒製造に由来するCO2排出量の削減と、冷媒の安定供給に資する資源循環型システムの構築に貢献します。
※1:空調冷媒:室内機と室外機の間に充填されている、熱を媒介するガスのこと。
※2:全量再生利用:冷媒R410Aおよび後継冷媒の全量再生を想定
今後、国内でも空調用冷媒の回収・再生・循環利用の実現に向けた取り組みを進めていきます。
また、冷媒の漏洩を防止するため、2021年10月には『VRV』『スカイエア』『machiマルチ』においては、空調機の設置工事の際に必要な冷媒配管の末端をラッパ形状に加工する「フレア加工」を省く業界初※3の「フレアレスジョイント」を工事の簡素化による労働環境の改善と、工事品質の安定化を目的として標準搭載しました。
(フレアレスジョイントについてはこちら)
※3:当社調べ:2021年8月25日時点。業務用マルチエアコン及び店舗オフィスエアコンにおいて
廃棄があるリニアエコノミーの考え方では、製品寿命を延長したり、製品を修理して使い続けたりできるようにしてしまうと、新たな製品が売れなくなってしまうという経済構造的な欠陥があります。製品寿命を延長するという環境によい選択が、経済的に合理的な選択となっていないことが問題となっています。
そこで、サーキュラーエコノミーにおいては、メーカーが製品の所有権を消費者に移転するのではなく、製品を必要なときに必要な分だけ「利用」してもらうというビジネスモデルを適用することで、この問題を解決します。具体的には、シェアリングやPaaS(Product as a Service:製品としてのサービス)といったビジネスモデルとなります。
メーカーが製品の所有権を持ち続けることで、ロジックは180度反転し、今後は製品寿命を延長すればするほど、一つの製品をより多くの人により長く利用してもらい、課金することができるようになるため、資源生産性を高めることができるのです。つまり、環境によい選択が、経済的にも合理的な選択となるということです
ダイキンでは日本で先駆けて、PaaSビジネスモデルをグループ会社のエアテクノが出資するエアアズアサービス株式会社にて2016年よりこのビジネスを運用開始しています。
サーキュラーエコノミーの観点でというより、空調機を管理する自社人員確保問題解決策としての空調機のサブスク、「所有」から「利用」するという選択肢で活用されている事もあるようです。
環境・経済・事業性それぞれにWin-Winで継続可能なスタイルを模索していきたいです。
次回はダイキンの最新省エネ技術についてご紹介します。どうぞお楽しみに!
関連リンク
・ダイキン欧州HP「VRV L∞P BY DAIKIN」製品ページ
・ダイキン冷媒循環のデジタルプラットフォームの実証実験を開始(日本IBM協業)
・ダイキン住友不動産と空調設備の脱炭素に向けた包括連携協定を締結
・業界初ビルの快適な空調空間を月額固定料金で提供する「エアアズアサービス社」を設立