サーキュラーエコノミー時代へ
~冷媒に対する向き合い方~
サーキュラーエコノミーは従来の3R(Reduce:減らす・Reuse:再利用する・Recycle:リサイクルする)の考え方をベースに、そもそもの原材料調達や製品・サービス設計の段階から資源の回収や再利用を前提としており、廃棄物の概念は存在しないという経済モデルです。
今回は現在のダイキンが考える持続可能な活動とビジネスモデルを2回にわたりご紹介します。
「Take(資源を採掘して)」「Make(作って)」「Waste(捨てる)」というリニア(直線)型の経済システムから、3Rをベースとしたリサイクリングエコノミーを経て、経済性を重んじた新たな経済システムの考え方が「サーキュラーエコノミー(CE)」です。
参考:オランダ政府「From a linear to a circular economy」
サーキュラーエコノミーとは、モノやサービスの設計段階から廃棄物と汚染を生み出さないプランを考え、一度採取した資源を「作って、使い・作り続ける」という閉ループで考えること、つまり、廃棄物と汚染を発生させないという考え方です。揺りかごから揺りかごへ(クレイドル・トゥ・クレイドル)と表現されることもあります。
大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とする経済システムは気候危機や資源枯渇、生物多様性の喪失、プラスチック汚染、貧困、格差など様々な負の要因となります。これらの状況を解決し、全ての人々がプラネタリーバウンダリー(地球の環境容量)の範囲内で、社会的公正を担保しながら繁栄していくための仕組みとして、サーキュラーエコノミーの考え方が注目されています。
EUでは2015年から検討を進めており、経済性も十分に確保できることが分かってきました。2019年に発表した「欧州グリーンディール」政策の中でも、サーキュラーエコノミーは1つの柱として扱われています。
冷媒という化学物質は空調機のシステムを成立させる構成物の1つです。冷媒は大気に放出されると地球温暖化への影響があります。通常、冷媒は室内機と室外機の間の配管内で循環しており、大気に放出されることはありませんが、配管の老朽化や取り外しなどの工事時に大気に放出される可能性があります。
実はダイキンは世界で唯一、空調機と冷媒の両方を製造しているメーカーです。
万一大気に放出した際の環境負荷を最小限にするための冷媒の低GWP化に加え、冷媒の適切な管理、回収・再生・破壊の着実な実行など、製品のライフサイクルを通じた取り組みが必要と考えており、機器のエネルギー効率向上・機器の省エネ化と併せてサステイナブルな社会の実現に寄与することを命題と考えています。
1) 冷媒メーカーとしての役割
ニーズの多様性に応える冷媒を提供しつつ、冷媒の再生および再利用を実行し、冷媒のサーキュラーエコノミーの実現をめざします。
2) 機器メーカーとしての役割
機器・システムのエネルギー効率の向上と多様なニーズに応える最適な冷媒の選択に取り組み続けます。
3) ステークホルダーと一体となった役割
冷媒のサーキュラーエコノミーの実現に向けて、ステークホルダーとともに、漏えいを防止し、確実な冷媒回収を実施していきます。
2019年6月には再生冷媒を用いた業務用マルチエアコン「VRV L∞P(ループ) BY DAIKIN」の市場投入を開始しています。エアコンに搭載されている冷媒を回収・再生し、空調機に搭載している製品シリーズとなります。
お客様が空調機を更新する際に、廃棄する空調機からの冷媒回収と「VRV L∞P BY DAIKIN」の販売をセットにしたサービスを提案しています。将来の冷媒不足を懸念するお客様に安心していただけるよう、回収した冷媒を一時預かりとし、メンテナンス時に必要な冷媒のストックを保証します。このサービスは、回収した冷媒を確実に再生し、資源として循環させるソリューションとなっています。
※欧州の製品については、日本国内ではお取り扱いしておりません
いかがでしたでしょうか?今回はサーキュラーエコノミーについてダイキン欧州での取り組みをご紹介しました。次回は日本での取り組みについて紹介します。
どうぞお楽しみに!
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