旭化成とダイキン協創の歩み

■まずは、今回初登場の梅村さんにお話しを伺います!

空気だより:パートナーとして旭化成を選んだ決め手は何でしょう?
梅村さん(ダイキン):1つ目は265nmという殺菌効果の高い波長を取り扱っていること、2つ目はチップだけでなくユニットとして対応して頂けたことです。今回コロナ対策として製品化を考えた際、スピード開発が至上命題であり、 短期開発が見込めたからです。
空気だよりUVCへの着目はいつからされていたのですか?
梅村さん(ダイキン)ダイキンとしては2018年よりUVC技術に着目し調査開始していました。具体的に製品搭載について考え始めたのは2020年、本格的にプロジェクトが動き出したのは2020年12月です。

■続いて両社トークセッションです!

空気だより:UVC-LEDを製品搭載にあたり課題をどのように解決したのでしょうか?

末吉さん(旭化成):旭化成とダイキンの役割分担を明確にし、UVC発生装置のユニットとしての納品を旭化成のミッションとしました。製品内のどこにどのようにつければ性能が出せるかというシミュレーションを作成し、一緒に相談させて頂きました。ダイキン工業側には製品としての安全性を担保した設計をして頂きました。
梅村さん(ダイキン):ダイキンではUVC-LEDをどこにつければ性能が出せるか知見が無かったので、光学シミュレーションをして頂けたのは大変助かりました。そのおかげで、効果的な設置場所を見つけ出しました。安全性の観点では我々としても「絶対に漏らしてはいけない」という思いでUVに関わる全ての国際規格を調べるところから始めました。安全設計については、吹き出し口形状の工夫、メンテナンス扉に安全スイッチを設けて取り外したら絶対に切れるような設計など、何重にも防止策を取っています。
末吉さん(旭化成):シミュレーションは少なくとも100回くらいはやっていると思います。ここの場所に置くのであれば、角度はこの程度、駆動するときの電流の量もばらついた場合であっても、ここまで狙いたいなども含めて、かなり色々なケースでシミュレーションしました。

空気だより:安全面の苦労点は?
梅村さん(ダイキン):UVCを初めて使用する商品ということで、ダイキン内での安全基準を作成するところから始まりました。安全性を検討する場で10回以上議論して、UVストリーマ空気清浄機の安全設計ができました。
国際規格については、空気清浄機だけでは不十分だと考え、空気清浄機にとらわれず電気製品のくくりで全部規格を調べて、そのうえで空調機の規格を参考に設計をしました。国際基準だけでなく、社内ではいじわる試験を何回も行いました。例えば、フィルター全部を取って運転した場合、暗室でこもって使っても光が漏れないかなど、いろいろなことをして本体から光が漏れないといった試験結果を得られたため、社内で合格がでました。
末吉さん(旭化成):国際規格はUVを使用する際の安全性に対して、非常に高いハードルが設定されていますが、ひとつひとつのリスクを分解し、丁寧に対応したからこそ、実装の実現ができたのだと思います。
空気だより:海外とのUVC採用実績などの違いはありますか?
末吉さん(旭化成):UVC技術は、アメリカ・ヨーロッパが少し進んでいる印象です。日本で進まない理由のひとつとしては、安全面でやはり制約が多く、特に日系メーカーは安全面に対して非常に厳しい。UVを使おうとしても、安全面でのリスクをどうしてもなくせないといった課題があって、使っていただけないケースが実はかなりあります。
私も実際、何度か経験したことがあり、安全面で達成できずプロジェクトがなくなるケースもありました。 今回、ダイキン工業の設計はよく考えられていて、安全という点でも間違なく、一方性能を犠牲にすることなく、対応できているという点で素晴らしい設計だと考えています。

 

■最後に

末吉さん(旭化成):今回、空気清浄機に使いたいというお声をいただいて、実際に御社の中で使ってもらえるものを提供することで貢献できて良かったです。今回お話をいただき、発売まで実現できたということが非常に嬉しく思っています。御社の事業のなかでいうと、UV の可能性というのはもっと広くあると思いますので、今回の協業を最初の一歩という形にして、ぜひともまた旭化成とダイキン工業のチームジャパンで一緒に、グローバルに頑張っていけたらと考えています。
梅村さん(ダイキン):当社としてもUVストリーマ空気清浄機を発売しましたので知見を水平展開し、弊社で取り扱っている幅広い製品群に対して、UV搭載の検討をしたいと考えています。そのためにも、どういったところに置かなければいけないのか、いろいろなUVCのエビデンス関係を旭化成さまにご助言いただきながら進めていきたいと思います。

 

次回は、「めざせ空気博士!」として弊社のソリューションプラザフーハ東京より学びコンテンツをお送り致します。
実機を使ったコンテンツを盛り込んでおり、どなたでも分かりやすいような内容となっております。お楽しみに!

(関連リンク)

 ・ダイキンの作るキレイな空気1/2 ☚ダイキン空気だよりVol.1

 ・UVストリーマ空気清浄機 製品仕様

   ・UVストリーマ空気清浄機 プレス発表
 

(参考リンク)

 ・エラーコード検索

   ・空気で答えを出す会社