モノづくりからコトづくり:DXへの道
~ダイキン独自のAI・IoT人材育成~
今や当たり前になったIoT(Internet of Things)は、パソコンやスマホといった情報通信機器のみならず、身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながることで、モノ同士が情報を共有、連携して相互に制御する仕組みです。ものづくりにも密接にかかわる分野であり、AI・IoTに対応できる人材の獲得は喫緊の課題となっています。今回はAI・IoTに対応できるダイキン流人材育成についてご紹介します。
ものづくりの世界は大きく変わっています。 AIとIoTはともに「第4次産業革命」の要となる技術であり、さまざまな分野で活用が進んでいます。機械同士が繋がることで、見落としている重大な欠陥に気がついたり、効率性を上げることが可能となります。デジタル変革が進んでいる世の中において、その流れに乗り遅れるということは、企業存続の危機につながると考えられています。
ダイキンにも様々なデータが蓄積されていますが、それらを分析できる情報系人材不足が喫緊の課題でした。しかしAI・IoT人材の争奪戦が激しくなり、他社から引き抜こうとすると、報酬を上げ、一般社員と異なる給与体系にする必要がある上、長く居続けてくれる保証もありません。そこで一から育てる方向に舵を切ったことからダイキン流AI・IoT人材育成は始まりました。
ダイキンでは、AI・IoTを活用、推進していく人材を育成するため、情報科学分野を中心に包括連携契約を締結している大阪大学の全面的な協力を得て、2017年12月に社内講座「ダイキン情報技術大学( Daikin Information and Communications Technology College :以下DICT」を開講しました。2018年入社の新卒社員351人のうち、技術採用の希望者100名、2年の期間中は特定の事業部門に配属されることはなく、給料をもらい、学ぶことに専念してもらいました。
ひとえにデジタル人材と言えども、やはりダイキン社内で活用できなければ意味がありません。自社の課題を見つけ、デジタルで解決できるようになることが求められます。
①部門横断で全社的視点からデジタル活用推進に取り組める人
②従来の事業・サービス・商品の枠を超えたイノベーションを起こす人
③部門の固定観念を超えて抜本的な生産・開発・間接業務の改革に取り組む人
これらの人材像の育成を目指し、DICTでは、3つの基礎スキルを兼ね備えた「データサイエンティスト」として、“独り立ち“のレベルを目指して教育を進めています。
大学と大きく違うのは、まずは自社の事業とビジョンを理解することがベースにあることです。その上で、1年目は産官学連携している大阪大学の先生による座学を中心とした集中講義を受け、体系的な知識の理解と教養を深めます。2年目は受入部門からテーマを募り、実際の現場での課題解決と現場適応までを実践します。
DICTを卒業したメンバーは各事業部に配属され、現在進行形で課題を解決しています。例えば、工場では「止めない工場」を作ることをテーマに作業している人の画像認識をすることで教育に活かし、設備機器の「健康診断」をすることで止まる前に予防策を打てるようにするなど、着実に卒業生たちの活動が実を結び始めています。これら日本で培ったノウハウは、国内の他工場、海外工場に展開を検討するなど広がりを見せています。
DICTでは新卒生だけでなく、若手や中堅社員、管理職へのデジタル教育も行っています。開校してから5年が経過し、卒業生も1000名を超えました。縦横のネットワークができることで、仲間意識が醸成され、また卒業生は事業部に配属されてからは周りの社員へ好影響を与えることで、さらに仲間が増えていきます。このようにして当社のDX変革は着実に前進していると感じています。
次回は夏本番に向けたエアコンの省エネ情報をお送りします。
電気代高騰の中少しでもお役立ち情報をお届けできればと思っております。お楽しみに!
関連リンク
・ダイキンHP「イノベーションを創出するダイキン独自のAI・IoT人材を育成 」
・東洋経済ONLINE
ダイキン「新工場のIoT化」に熱心な理由 第4次産業革命で勝ち残るのは誰だ